3M、科学に対する意識調査 「ステート・オブ・サイエンス・インデックス」2022年版の結果を発表 日本ではSTEM分野においてジェンダー課題の実状と人々の意識との間に差

スリーエム ジャパン株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:宮崎 裕子)は、本日、3M社(本社:米国ミネソタ州、取締役会長兼最高経営責任者:マイク・ローマン)が実施した人びとの科学に対する意識調査「State of Science Index(ステート・オブ・サイエンス・インデックス)」(以下SOSI)の2022年版の結果を発表しました。

3Mは「サイエンス(科学)は世界の様々な課題を解決し、人びとの暮らしをより豊かにするために不可欠である」という信念を掲げています。その信念に基づき、社会における科学の役割や人びとの科学に対する意識を理解することが重要であると考え、2018年から毎年本調査を行っています。2022年の調査は、2021年9月から12月にかけて、日本を含む17カ国から各国約1,000人、計17,198人の成人男女を対象に実施されました。

▼ 調査結果の主なポイント(日本)
※ テキスト部分をクリックいただくと詳細な調査結果へ移動します。

  1. 日本での科学・科学者への信頼度が過去最高値に
  2. STEM分野におけるジェンダー課題の実状と意識との間に差も
  3. 環境問題への意識は高い一方で、環境に配慮した行動を「一切していない」と回答した人の割合は調査対象国中で最高値に
  4. 技能職の経済的価値が認識されつつも、キャリアの選択肢となるには壁も
  5. AI技術への期待が高まる一方、テクノロジーの進化に伴うスキル不足への懸念も
  6. COVID-19をきっかけに科学への評価は高まり、今後の医療分野での更なる科学技術の発展が求められる

日本における調査結果の詳細は以下の通りとなっています。

1.科学に対するイメージ:日本での科学・科学者への信頼度が過去最高値に

他国の傾向と同様に、日本でも科学への信頼度が上昇傾向にあることが分かりました。「科学を信頼している」と回答した人の割合はパンデミック前の調査と比べ8ポイント上昇の88%となり、過去最高となりました。

また、「科学が日々の生活に与える影響はかなり大きい」と回答した人の割合は、グローバル平均の40%を大幅に上回り、75%となり、昨年までの調査と比較しても高水準を維持しています。そして、「科学は日常生活における自分自身にとって非常に重要である」と回答した人の割合は35%(グローバル平均56%)となり、グローバルの平均よりも低いものの、2018年の初回調査から20ポイントも上昇していることから、日本の人びとの科学に対する評価や意識の変化が伺えます。

科学に関する情報収集のソースについては、「科学者・エンジニア」(日本87%、グローバル平均85%)や「医療従事者」(日本86%、グローバル平均84%)が発信する情報を最も信用するという傾向がみられたものの、「自分が定期的に利用している報道機関(オンラインまたは活字媒体、テレビの報道番組、ラジオ、雑誌など)」で報道される科学に関する情報における信頼度は日本、グローバル平均ともに60%台にとどまりました(日本65%、グローバル平均61%)。また、ニュースなどで報道される科学に関する情報に対する信頼性を阻害する要因として、「科学者の間でも何が真実かについての見解が割れているため」と回答した日本人の割合は、調査対象国中で最も高い40%(グローバル平均31%)となりました。「科学に関するニュースは、媒体や情報源を問わず信用する」(日本43%、グローバル平均50%)と回答した人の割合や「ソーシャルメディアで公表された科学的根拠のある事実を信頼する」(日本38%、グローバル平均44%)と回答した割合も半数以下にとどまり、情報の発信者やプラットフォームの種類が、科学に関する情報に対する信頼度を左右する重要な要素となりうることが示されています。

桝 太一氏のコメント【同志社大学 ハリス理化学研究所 専任研究所員(助教)】

「科学」への信頼度が去年よりもさらに上昇し90%に迫ったことは、パンデミックへの対抗手段として科学が存在感を発揮したことが広く認められた証左であると考えています。3M社によるこのデータが、ここまで懸命にパンデミックに立ち向かってきた科学者、医療従事者の皆さんの背中を押し、強く支えるものになって欲しいと願っています。また同時に「科学者」への信頼度が上昇したことについては、かつてないほど“科学者の顔が見える”ようになってきたことも一つの要因ではないかと私は考えています。すなわち、SNSなど発信手段の発達と多様化によって、科学者による直接的な発信に人々が触れやすくなった、ということです。科学と社会を繋ぐ新たな経路が開通し始めていると言えるかも知れません。ただし、ときとして科学的な正確性が保証されない経路も生じうるリスクについては、今後慎重に議論していく必要があると強く感じます。また、メディアに携わる立場として個人的に注目したポイントは、科学について「科学者、エンジニア」「医療従事者」が情報源だった場合に「信頼する」が80%を超えるのに対し、「自分が定期的に利用している報道機関」を「信頼する」が65%に留まった点です。報道機関が、科学と社会の間に立って理解とコミュニケーションを促すという本来の役割を適切に全うできていたかどうか、見直して改善する必要性を示す結果だと捉えています。

中島 さち子氏のコメント【株式会社steAm 代表取締役/東京理科大学 数学体験館 副館長/大阪・関西万博テーマ事業プロデューサー】

「科学を信頼するか」や「科学が日々の生活に与える影響はかなり大きい」に対して「はい」と回答した方の割合がパンデミックの前後でグローバルにも日本でも大きく増えてきました。おそらく突然の世界的感染爆発が皆を震撼させ、さまざまな不安の結果として医学や薬学などへの関心が高まったり、いろんな噂などに翻弄されつつ「科学的に正しい」ことの重要性を肌身をもって感じるようになったのではないでしょうか。ただ、「科学的に正しい」とは一体どういうことでしょうか・・・パンデミックを通じて「誰が」「どの媒体で」言うかによって信頼度が違ってくるなど科学といっても一概に答えが一つではないことを多くの方が痛感するようになったものの、いまだに「Xさんが言うことだから正しいはず!」というように、多様な物事には「唯一の正解」がどこかにあると信じ求める方も多いように感じます。今回のパンデミックで明らかになったように、科学も万能ではなく仮定や状況や固有の体質などによって何が正しいかは揺らぎます。科学や人生では一概には言えないことが多く、今正しいと信じられている教科書にのっているようなことももしかしたら間違っているのかもしれません。だからこそも、何が大事かを見失わず、個別の状況の上で、批判的かつ建設的な視点ももち対話を繰り返しながら、随時その場その場であなた自身の思考と感性でいろんな判断・決定をしていく力が求められています。また、そうした揺らぎの中だからこそも、どのように何を誰が発信するかの表現・伝達の仕方も社会ではとても重要です。まさにSTEAM。科学や数学も、さまざまな知と感性の掛け合わせで多様な顔を魅せてくれるようになると、より本質的に科学は発展し、各々の世界の歓びが広がっていくと信じています。

2.STEM分野における公平性:ジェンダー課題の実状と意識との間に差も

  • STEM分野のジェンダー課題

経済協力開発機構(OECD)が2021年に発表した調査結果によれば、2019年のSTEM分野関連の高等教育機関への入学者のうち、女性が占める割合は加盟国の中で日本が最下位となり、理工系の女子学生の少なさが浮き彫りとなりました。日本の理工系分野における女性活躍を後押しすることは、今後の科学技術発展を支える理工系人材の育成という観点からも重要な課題の1つであることは明白です。しかし、今回の意識調査では、STEM分野の教育や就職の場面において、顕著な差別や偏見を示唆する結果は見られず、むしろジェンダー格差が改善傾向にあると考える人も一定数いることが分かりました。

STEM分野の教育において、「学生たちが質の高いSTEM教育を受けるための障壁となっている項目」の上位3つを選択する設問で、「STEM分野を目指す女子学生に対する偏見や先入観」を選択した人の割合は調査対象国中で最も低い13%となり(グローバル平均23%)、回答者をジェンダー別にみても、差はほとんど見られませんでした(男性12%、女性15%)。

また、「女性がSTEM教育に取り組むことを奨励し、維持するためには、より多くの問題に取り組む必要がある」ことに同意しないと回答した人は23%(グローバル平均16%)、「女性は十分なサポートが受けられないために、STEM 分野の仕事を離職している」ことに同意しないと回答した人は44%(グローバル平均34%)で、いずれも対象国の中でも高い数値となり、ジェンダー格差の課題に関する認識の低さが伺えます。

しかし、実際に「STEM分野ではジェンダー格差がある」と回答した人は全体の約4割に留まりました。それらの回答者にさらに「性別による格差は改善しているか」と聞いたところ、「改善していると思う」と回答した人の割合が調査対象国中最高の72%となり、ジェンダー格差があると考えている人の中でも、格差は改善されつつあると感じている人が比較的多いことも分かりました。

このように、日本ではSTEM分野のジェンダーに関する課題があるものの、偏見や格差を実感していると答えた回答者は一定数にとどまる傾向にもあり、実情と意識との間に乖離があることが示唆されます。

  • STEM分野の更なる発展のために

現在STEM分野の仕事に従事している人が今の仕事を選んだ理由として、以下のような回答が得られました。特にグローバル平均との数値の乖離が大きかった項目は「家族に勧められてSTEM分野でのキャリアを目指すようになった」(日本6%、グローバル平均24%)です。

また、STEM関連の職種に従事することを考えたものの、最終的に違う仕事に就いたという回答者のうち、「自分は STEM を追求するほど優秀ではないと思っている、またはそう思っていた」を理由として挙げた人の割合が、調査対象国の中で最も高い42%となりました(グローバル平均25%)。また、「そもそもSTEM分野でのキャリアを考えたことがない」と回答した人は79%と、高い割合を占めています(グローバル平均63%)。STEM分野で活躍する人材を増やすために、無意識のうちの偏見や思い込み(アンコンシャスバイアス)等を排除することが重要なポイントになることが示唆されます。

また、STEM分野のキャリアを追求する中で、課題に直面した時期に関しては、「高等教育(大学、短大、専門学校)において」が42%(グローバル平均44%)、「初等教育(幼稚園から高校まで)において」が29%(グローバル平均25%)、「社会人として就労し始めた後」が18%(グローバル平均12%)、「仕事に応募する時」が10%(グローバル平均19%)となりました。教育を受ける段階で課題を感じていると回答した人が多いことから、教育課程(主に初等教育から高等教育への移行期間)における課題解決の取り組みが優先事項の1つであると考えられます。

実際、「若者は以前に増して科学や科学関連の問題に関心を持つようになった」との項目に同意しない人(日本48%、調査対象国中最高値、グローバル平均24%)は多く、企業に求めるものとして「子供たちが幼い頃から科学と触れ合うための教育リソース(教材、設備、人材等)の創出」(44%、調査対象国中最高値)が他国に比べて多く選ばれました(グローバル平均33%)。

大隅 典子氏のコメント【東北大学 副学長(広報・共同参画担当)】

OECDの2018年の調査によれば、日本の女性は高等教育やSTEM分野への進学が少なく、人材が社会で活用されていない。本SOSI調査において、その原因としてSTEM教育指導者・教師の不足や、関連してロールモデルの少なさが浮かび上がった。3Mのようなグローバル企業には、ぜひ高等教育やSTEM分野への進学を促すための奨学金の支給や、STEM分野の先輩との交流の機会の提供などが望まれる。

桝 太一氏のコメント【同志社大学 ハリス理化学研究所 専任研究所員(助教)】

STEM分野におけるジェンダーギャップについて、人々の意識と実態が一致していないことを示唆する調査結果は、意外なものでした。一般社会にとってSTEM分野がまだそれほど身近ではなく、いわば“中が見えない”ゆえにギャップの存在自体を認識できていない可能性があると考えます。同様に、女性のSTEM分野進出を阻む要因としても、例えば親が娘に対してSTEM分野のキャリアを勧める発想自体を持っていないなど、無意識的に壁の再生産が繰り返されていることが考えられます。その無意識のサイクルを変えていくには、(特に女性の立場で)STEM分野で充実した人生を歩んでいる身近なロールモデルを、教育現場やメディアを通して広く繰り返し提示していくことで、そのキャリアパスが「当たり前のものだ」と意識づけられていくことが重要であると考えます。

中島 さち子氏のコメント【株式会社steAm 代表取締役/東京理科大学 数学体験館 副館長/大阪・関西万博テーマ事業プロデューサー】

2021年発表のOECDのSTEMとジェンダーに関する調査結果やジェンダーギャップ指数などでは、国際的に見て日本の結果は悪く、残念ながら数年来あまり改善も見られない結果となっています。実際、STEM関連分野でも多くの学部やイベントやコンテストにおいて明らかなアンバランスがあることが往々にしてありますが、そうした割合データの集計や公表は特段求められていないことも多くあります。一方、数字として把握していないからか、そもそもアンバランスであることに気づいていなかったり問題視していなかったり(世界的によく言われてきた「たまたま女性がいなかった」という言い訳が都度繰り返されている状況)・・・まさに日本では悪気のない「無意識バイアス」がまだまだあると思います。それは、やはり、時にいまだに数が少ない女性やジェンダーマイノリティの心身に負担を及ぼしたり、誰も望まないハラスメントを引き起こし、結果として大好きな研究や生き方を諦めざるえない結果になっていることがあります。

 国際的にはSTEMのイベントがあれば、必ずといって良いほどSTEM×ジェンダーをテーマとしたセッションがあります。また、こうしたイベントや学部では基本的に、ジェンダーや人種をはじめ多様性を担保していることが求められます。割合などのデータ取得は原則義務です。また、イベントやコンテストの運営・企画側の多様性も求められています。
 間違えてはいけないのは、こうしたデータの公開や多様性の担保は、男性を圧迫させるためのものでは全くないということ。むしろ男性含め誰しもが自分なりの個性やペースで好きなものに向き合い続けられる社会を生み出し、研究や創造や生きる歓びを多様に開くためです。インクルーシブな環境や企画は、多様な一人一人の個性や凹凸を受け入れ、新たな掛け算型の創造や発想を生み出します。
 モノカルチャーでは、人は、無意識のうちに自分を固定した価値観の中に押し込めがちです。これから、誰もが好きなものを好きと言え、心が動く世界に対して自分なりの多様なあり方で向き合い、ワクワクの歓びを共に育むことができる、より色彩豊かな社会・文化を協奏していけますように!

3.サステナビリティ:環境問題への意識は高い一方で、環境に配慮した行動を「一切していない」と回答した人の割合は調査対象国中で最高値に

日本においても、サステナビリティへの関心は高まっています。環境問題の各項目に「昨年より心配している」と回答した割合は、「気候変動」(日本76%、グローバル平均74%)、「自然災害の激化」(日本80%、グローバル平均74%)、「プラスチックによる海洋汚染」(日本68%、グローバル平均73%)、「大気汚染」(日本65%、グローバル平均71%)となり、グローバル平均と比較しても決して関心が低くないことがわかりました。また、科学が解決すべき社会課題(COVID-19のパンデミックを除く)として、「気候変動の影響」を選んだ人の割合が69%と、調査対象国の中で最も高い数値となりました(グローバル平均58%)。

中でも、気候変動が及ぼす影響として、「異常気象」と回答した人の割合は、調査対象国中で最高値の80%にまで上り、グローバル平均を10%上回る結果となりました。実際に、「(異常気象により)将来的に自身や大切な人たちがある日突然、住んでいる場所から避難する必要が生じることを懸念している」と回答した人は93%に上り、同様に調査対象国の中で圧倒的に高い数値となっています(グローバル平均79%)。

しかし、環境問題への危機感が高い一方で、日々の生活の中で環境に配慮した行動を取る人が少ないことも明らかとなりました。過去6カ月間で実際にとった行動として、「何もしていない」と回答した人は21%(グローバル平均7%)で、調査対象国の中で最も高い数値となりました。その他には、「プラスチックの使用を削減した」(日本36%、グローバル平均53%)、「水の使用量を削減した」(日本25%、グローバル平均48%)、「プラスチックや段ボールなどのリサイクル素材を利用した」(日本35%、グローバル平均54%)などが挙げられましたが、いずれもグローバル平均を大幅に下回る結果となり、調査対象国の中で最低値となりました。

気候変動の影響を軽減するための取り組みを妨げているものとして「やり方が分からない」と回答した人の割合は37%で、グローバル平均の28%よりも高い数値となっています。社会課題解決に対する重要性の認識は高まっているものの、個人レベルでは対応しきれない課題やいかに自分ごととするかと言った課題は残されたままです。

4. 技能職・スキルアップ技能職の経済的価値が認識されつつも、キャリアの選択肢となるには壁も

電気技師、大工、配管工など特定のスキルや能力を必要とする技能職1については、その経済的価値を認識している人が多いものの、自分自身が技能職を目指す人は少ない傾向が明らかになりました。

日本も他国と同様、「より多くの技能職の労働力が必要(日本87%、グローバル平均91%)」であり、「技能職に就けば、4年制大学の学位が必要な職業に就いた場合と同等の収入を得られる(日本 調査対象国中最低値60%、グローバル平均71%)」と考え、技能職の経済的価値を認識している人が半数以上を占めています。

しかし、実際に「現在技能職に就いておらず、技能職に就こうと思ったこともない」と回答した人は68%(グローバル平均49%)、「技能職に就く人を尊敬しているが、自分で就こうとは思わない」と回答した人は65%(グローバル平均68%)となり、実際に技能職を目指す人は多くないことが分かりました。

また、技能職でキャリアを積むことを考えたことがある人が、技能職のキャリアを積むことを断念した理由としては、「他に就きたい職業があった」(日本45%、グローバル平均37%)、「技能職について学ぶ専門学校や職業訓練校に通うための経済的余裕がなかった」(日本21%、グローバル平均28%)、そして「キャリアアップの機会が少ない」(日本20%、グローバル平均24%)が上位を占めました。一方、「家族がそれを妨げている(妨げていた)」を理由に挙げた回答者は調査対象国中最低値の4%になりました(グローバル平均11%)。

スキルアップ2に関しては、「雇用主は従業員のスキルアップに経済的な支援や補助金を与えるべきである」(日本84%、グローバル平均89%)と考える人が多くいました。

※1「技能職」・・・電気技師、大工、配管工、溶接工など、特定のスキルや能力を必要とする職業や仕事のことで、歯科衛生士や調理師/シェフなどのサービス業も含まれます。

※2「スキルアップ」・・・追加の教育や訓練によってスキルを向上させること。

5. 次世代技術:AI技術への期待が高まる一方、テクノロジーの進化に伴うスキル不足への懸念も

人工知能(AI)に関して、「AIは自分の日常生活に影響を与えるエキサイティングなテクノロジーである」(日本71%、グローバル平均65%)ことに同意した回答者は世界平均を上回る約7割となり、AI技術への期待が伺えます。

また、AI失業に関しては、約3分の1の回答者が「今後5年以内に、AIの発達により自分が失業してしまうのではないかと心配している」(日本34%、グローバル平均47%)ものの、他国と比べて危機感が低い傾向にあることが分かりました。

一方、「デジタルスキルへの依存度が高まりつつある雇用市場に自身のスキルが追いついていけるか心配である」と回答した人は72%(グローバル平均64%)となり、テクノロジーの進化に伴う求められるスキルの変化を懸念する声も明らかとなりました。

6. ヘルスケア:COVID-19をきっかけに科学への評価は高まり、今後の医療分野での更なる科学技術の発展が求められる

新型コロナウイルス感染症(以下COVID-19)のパンデミックを通して、「科学をより評価するようになった」と回答した人は53%(グローバル平均58%)に上り、身近な健康リスクに直面したことで科学の力に対する意識が高まっている傾向がみられました。

また、今後 5 年間で社会が優先的に取り組むべき項目として、82%が「年齢、性別、人種・民族、社会経済的地位、居住地などにかかわらず、質の高い医療を確実に利用できるようにすること」(グローバル平均78%)を期待しています。他にも、今後科学が解決すべきもののひとつとして62%が「質の高い医療を平等に受けること」を選択し、調査対象国で最も高い数値となりました。これは、グローバル平均の54%を上回る結果となっています。

今後科学が優先的に取り組むべき医療の進歩(COVID-19のパンデミックを除く)としては、「慢性疾患の治療法」(日本55%、グローバル平均62%)、「がんの治療」(日本53%、グローバル平均57%)、「将来のパンデミックに備えたワクチン」(日本49%、グローバル平均50%)が他国の結果と同様に上位を占めましたが、「人工知能(AI)、データ分析、電子カルテを使用した患者の健康状態の追跡、改善」(日本 調査対象国中最高値45%、グローバル平均33%)や「医療におけるロボットの活用(手術の補助、患者のケアなど)」(日本 調査対象国中最高値41%、グローバル平均29%)を選択する割合が日本ではグローバルに

比べて、高い傾向にあることも分かりました。世界でも医療レベルが高水準とされる日本のさらなる医療分野の発展のためには、より先進的な技術の導入が期待されていることが推測できます。

また、企業が優先して行うべき事項としては、「医療業界やその他の団体と連携し、ケアの質を向上すること」(日本 調査対象国中最高値 57%、グローバル平均50%)、「他の組織(政府関係機関、非営利団体、学界など)と協力し、十分なサービスを受けていない、あるいは恵まれないコミュニティの公衆衛生に関する根本原因(居住地、食料品店へのアクセス、移動手段へのアクセス、教育、仕事など)に対応すること」(日本50%、グローバル平均47%)が必要だと回答しました。

 

「State of Science Index(ステート・オブ・サイエンス・インデックス)」の各国の結果の比較や、
より詳細な情報は下記のウェブサイトをご覧ください。
 http://go.3M.com/jp_cc_sosi (日本語) / www.3M.com/scienceindex (英語)

 

【State of Science Index(ステート・オブ・サイエンス・インデックス)の調査方法】

3M のSOSIは、3Mが委託した第三者機関であるIpsos社による独自調査により、世界の人びとの科学に対する意識を追跡し、科学が世界に与える影響や、科学分野に関して人びとがどのように考え、感じているかを調査しています。2018年から始まり、オンラインとオフラインのインタビューを組み合わせた調査を行い、国勢調査の人口統計に基づく各国の代表的な調査結果を出しています。

2022年の調査は、9月27日~12月17日にかけて、17カ国(オーストラリア、ブラジル、カナダ、コロンビア、中国、フランス、ドイツ、インド、イタリア、日本、メキシコ、ポーランド、シンガポール、韓国、UAE、英国、米国)において、各国の一般成人(18歳以上)約1,000人を対象に実施されました。信頼水準は95%、調査対象17カ国全体における許容誤差は±0.8%ポイント、各国レベルの許容誤差は±3.1%ポイントです。SOSIでは、これまでの全ての調査結果を比較するため、10カ国(ブラジル、カナダ、中国、ドイツ、日本、メキシコ、ポーランド、シンガポール、英国、米国)の平均を使用しています(誤差±1.0%)。

通常は年に1度の調査となりますが、COVID-19の影響により、2020年はパンデミックが発生する数カ月前の2019年8月~10月に実施した調査(「2020年パンデミック前調査」)と、パンデミックが発生した2020年7月~8月に実施したパルス調査(「2020年パンデミック期調査」)の2つのデータを発表しました。2021年には約6カ月後(2021年2月~3月)の、パンデミックから1年が経過した時点で2021年の調査を実施し、パンデミックやその他の経済の主な出来事、社会的正義が問われた出来事などが、世界の人びとの科学観や科学の課題に対する意識にどのような影響を与えたかを探りました。

 

3Mは3M社の商標です。

プレスリリースに掲載している内容は発表時点の情報です。

最新の情報とは異なる場合がございますので、あらかじめご了承ください。

 

【3Mについて】

3M(本社:米国ミネソタ州)は、人びとの日々の暮らしをより豊かにするために、世界中のお客様と連携しながら、サイエンス(科学)を活用しています。グローバルな課題の解決に向けて、3Mが取り組んでいる創造的なソリューションの詳細は、www.3M.comまたはTwitterの@3M、@3MNewsをご覧ください。また、3Mジャパングループについてはwww.3mcompany.jpをご覧ください。

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