スリーエム ジャパン株式会社(本社:東京都品川区 代表取締役社長:宮崎 裕子)は本日、気候変動に対する日本の意識調査の結果について発表します。
3Mは“3M Forward”を掲げ、気候変動と資源不足、人口動態と社会の変化、急激に進むデジタル革命など世界規模で喫緊の課題となっているメガトレンドに対し、3Mのサイエンスの力を通じて環境や社会課題の解決に向けて積極的に取り組んでいます。
本発表では、3M社(本社:米国ミネソタ州、取締役会長兼最高経営責任者:マイク・ローマン)がグローバルで毎年実施している、人びとの科学に対する意識調査「State of Science Index(ステート・オブ・サイエンス・インデックス)」(以下SOSI)の2023年版調査結果のうち、気候変動に関する項目を取り上げ、これらに関する日本人の意識をグローバルの結果と比較しながらご紹介します。
▼調査結果(日本)のサマリー
- 気候変動への危機感の高まりと、気候変動や自然災害がもたらす実害への恐れ
環境問題に対する危機感が高まっており、特に気候変動がもたらす異常気象への懸念が顕著である。また、気候変動による気温の変化や、日本においては地震によって住まいを追われるリスクが懸念されている。 - 気候変動に対する政府のリーダーシップや企業の取り組みへの高い期待
気候変動対策への取り組みに対する政府のリーダーシップに加え、持続可能な未来づくりをリードする企業への期待が高い。政府に対しては、再生可能エネルギーに関わる金銭的な補助への強いニーズがある一方、企業に対しては、持続可能なイノベーションの開発や採用の観点において、大気汚染や廃棄物削減に関する技術などに高い期待が寄せられている。
▼調査結果(日本)の主なポイント
1. 日本人が1年前と比べてより危機感を持っている環境問題のトップ3は「自然災害の激化」「極端な気温」「気候変動」である
2. 気候変動がもたらす影響として「異常気象」が最も懸念されている
3. 気温の変化によって住まいを追われることを約8割の日本人が懸念、「地震」による影響がトップにあげられている
4. 日本人が気候変動に対して行動を起こす際の動機は、個人の信念よりも気候変動の影響に起因する傾向がみられる
5. 政府の気候変動に対するさらなる取り組みに高い期待がある
6. 企業に対しても気候変動に対する積極的な取り組みが求められている
7. 気候変動に対処する技術として「大気汚染のろ過技術」への期待が最も高い
8. 気候変動に対応する日本のインフラ投資は「公共施設の冷暖房への再生可能エネルギーの活用」「サステナブルな交通手段」が支持されている
9. 再生可能エネルギーに関わる金銭的な補助のニーズが高い
調査結果の詳細は以下の通りです。
1. 日本人が1年前と比べてより危機感を持っている環境問題のトップ3は「自然災害の激化」「極端な気温」「気候変動」である
環境問題のうち「1年前よりも危機感を抱いている」と回答した項目として、日本では「自然災害の激化(83%)」「極端な気温(熱波・寒冷前線など)(81%)」「気候変動(80%)」が上位を占め、いずれもグローバル平均よりも高い数値を示しています。一方で、「きれいな水の供給(58%)」と回答した割合についてはグローバル平均(66%)を下回りました。
2. 気候変動がもたらす影響として「異常気象」が最も懸念されている
世界中の人びとが気候変動のもたらす深刻な影響を心配しており、日本においても94%(グローバル平均93%)の人びとが心配していると回答しています。また、気候変動がもたらす各影響のうち、日本とグローバル平均のどちらも「異常気象(猛烈なハリケーン、火災、洪水など)」をあげる人の割合が最も高く、特に日本では74%(グローバル平均56%)と、調査国の中でも圧倒的な数値となっています。次点は、日本では「気温と気象パターンの長期的な変化(39%)」である一方で、グローバルは「きれいな水の不足(41%)」となっています。
3. 気温の変化によって住まいを追われることを約8割の日本人が懸念、「地震」による影響がトップにあげられている
日本では「時間の経過に伴う気温の変化により人びとが住まいを追われることを懸念する」との項目に83%(グローバル平均82%)の人が同意しています。また、気候変動に関連する影響のうち「地震(94%)」、「火災(86%)」、「洪水(86%)」、「津波(83%)」「海面上昇(81%)」の順に転居を強いられる可能性が高いと考えており、日本においては特に自然災害の経験を踏まえた「地震」に対する強い懸念が窺えます。一方、グローバル全体では「干ばつ(86%)」、「火災(86%)」、「洪水(85%)」、「熱波(84%)」といった結果になっています。
4. 日本人が気候変動に対して行動を起こす際の動機は、個人の信念よりも気候変動の影響に起因する傾向がみられる
気候変動に対して行動を起こす際の動機について、日本では「気候変動の影響に起因する(72%)」と回答した割合がグローバル平均(72%)と同水準であった一方、「個人の信念に起因する(67%)」と回答した割合はグローバル平均(76%)よりも低い数値になりました。気候変動からもたらされる実害への懸念に基づいて行動する日本人の傾向が窺えます。なお、「気候変動の影響に起因する」とは「気候変動がもたらす惨状を目の当たりにしているから」「気候変動により個人的に影響があることを懸念しているから」といった項目、「個人の信念に起因する」とは「自然資源(海、植物、動物など)を守りたいから」「豊かな地球を次世代に残したいから」といった項目が、各内訳としてあげられています。
5. 政府の気候変動に対するさらなる取り組みに高い期待がある
日本では、自国の政府の気候変動に対しての取り組みについて「十分である」と考えている人の割合は17%(グローバル平均35%)、「十分でない」と考えている割合は83%(グローバル平均65%)となっています。グローバル比でみても十分でないと考えている割合が多く、今後の政府によるさらなる取り組みへの高い期待が示されています。
6. 企業に対しても気候変動に対する積極的な取り組みが求められている
気候変動への対処に関し、日本では「各国には気候変動に関するより積極的な公共政策と政府の行動が必要である(89%)」と考える人の割合が最も高く、次いで「企業は消費者がより簡単にサステナビリティを高められるようさらに努力すべきである(88%)」「企業は気候変動に対処するテクノロジーやイノベーションの開発と採用を加速させる必要がある(88%)」の項目が同順位となっています。一方で、「世界をより持続可能なものにするために、人びとは科学に従うべきである」に同意した日本人の割合は78%に達するものの、調査国のうち最も低い値となっています。科学の進展を望む一方で、気候変動に対する政府のリーダーシップや各企業によるサステナビリティへの取り組みをさらに深めていくことへのより高い期待感が示されている結果となっています。
7. 気候変動に対処する技術として「大気汚染のろ過技術」への期待が最も高い
気候変動に対処する各技術のうち、日本では「大気汚染のろ過技術 (大気中の有害粒子を除去するためのフィルターなど)(51%)」に期待する人の割合が最も高く、次いで「サステナブル(持続可能)な食肉と農業(植物由来の食肉、実験室で培養した肉など)(49%)」「廃棄物削減のための革新的な資源の活用 (47%)」となっています。なお、グローバル平均では「廃棄物削減のための革新的な資源の活用 (49%)」「大気汚染のろ過技術 (大気中の有害粒子を除去するためのフィルターなど)(47%)」「従来の建築資材(屋根瓦、コンクリート、木材など)に代わる地球にやさしい資材(44%)」「手頃な価格のソーラーパネル(44%)」の順となっています。
8. 気候変動に対応する日本のインフラ投資は「公共施設の冷暖房への再生可能エネルギーの活用」「サステナブルな交通手段」が支持されている
世界の人びとが、気候変動に適応する、または気候変動の影響を最小限に抑えるために、国がインフラ設備に投資をすることを望んでいます(日本91%、グローバル平均93%)。各国において投資が期待される将来のインフラ設備について、日本では「公共施設の冷暖房に再生可能エネルギーを使用する(44%)」と「よりサステナブルな交通手段(電車/バス、電気自動車のタクシーなど)(44%)」と回答した人の割合が同率1位、次いで「防災技術および計画(43%)」があげられています。一方、グローバルでは「公共施設の冷暖房に再生可能エネルギーを使用する(55%)」、「よりサステナブルな交通手段(電車/バス、電気自動車のタクシーなど)(51%)」、「放置された土地の緑地化(空き地に公園を作るなど)(48%)」の順となっています。
9. 再生可能エネルギーに関わる金銭的な補助のニーズが高い
世界の多くの人が、国が気候変動の影響に対処するために投資することを望んでいます(日本90%、グローバル平均91%)。国に採用してほしい具体的な政策のうち、日本においては「再生可能エネルギーに対する金融優遇措置」(42%)と回答する人の割合が最も高く、次いで「エネルギー需要管理プログラムの主導(オフピーク時にエネルギーを蓄え、ピーク時にエネルギーを放出する蓄電装置の使用など)(36%)」と「電気自動車の使用/所有に対する奨励金(36%)」があげられています。グローバルにおいても「再生可能エネルギーに対する金融優遇措置(44%)」が最も高く、世界的に見ても再生可能エネルギーに関わる金銭的な補助に高い関心があることが窺えます。
「State of Science Index(ステート・オブ・サイエンス・インデックス)」の各国の結果の比較や、より詳細な情報は3m.com/3M/en_US/3m-forward-us/about-the-survey/(英語)をご覧ください。
【State of Science Index(ステート・オブ・サイエンス・インデックス)とは】
社会における科学の役割や人びとの科学に対する意識を理解することを目的に、3Mが2018年から実施している「科学に対する意識調査」です。世界の人びとの科学に対する意識を追跡し、科学が世界に与える影響や、科学分野に関して人びとがどのように考え、感じているかを調査しています。
2023年の調査は、2022年9月から12月にかけて、17カ国(米国、カナダ、イギリス、ドイツ、台湾、ブラジル、メキシコ、日本、韓国、スペイン、中国、インド、フランス、香港、イタリア、タイ、オーストラリア)から各国約1,000人、計17,061人(日本の1,005人を含む)の18歳以上の男女を対象に実施しました。
【3Mについて】
3M(本社:米国ミネソタ州)は、サイエンス(科学)が明るい未来を創造すると信じています。人びと、アイデア、サイエンスの力を解き放つことによりさらなる可能性を模索し、世界中の社員がお客様、地域社会、そして地球の課題を解決するために取り組んでいます。人びとの暮らしを豊かにし、「これから」を創り出すための3Mの活動は3M.com/newsをご覧ください。3Mジャパングループについてはnews.3mcompany.jp/news-centerをご覧ください。
3Mは3M社の商標です。
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