3M、科学に対する意識調査「SOSI」2021年版の結果を発表 「科学への信頼度が向上、科学の力と明るい未来に期待」 ~多くの人がSTEM教育、サステナビリティ、官民連携において科学の貢献を望む~

スリーエム ジャパン株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:宮崎 裕子)は、3M社(本社:米国ミネソタ州、取締役会長兼最高経営責任者:マイク・ローマン)が人びとの科学に対する意識を調査した「State of Science Index(ステート・オブ・サイエンス・インデックス)」(以下SOSI)の2021年版の結果を発表しました。SOSIは、3Mの「サイエンス(科学)はグローバルにおける課題を解決し、人びとの日々の暮らしをより豊かにするために不可欠である」という考えのもと、2018年から毎年行われています。2021年の調査は日本を含む過去最大規模の17カ国を対象に行われ、新型コロナウイルス感染症(以下COVID-19)が拡大する状況下で実施された調査としては2回目となります。

グローバルの調査結果からは科学の可能性について、個人用防護具(PPE)の製造からワクチン開発、COVID-19への対応まで、世界全体が期待を高めていることが明らかになりました。特に、今後の社会における科学の役割について、「科学がパンデミックから世界を救うと期待している(85%)」や、「科学のおかげで2021年は2020年よりも良い年となる(87%)」と回答するなど、昨年の結果と比較して、より多くの人が科学へ期待を寄せていることが分かりました。

日本の調査結果においても、人びとの科学に対する信頼度が向上しました。特に、「日常生活で科学は非常に重要な役割を担っている」と回答した人の割合は、調査開始時の2018年と比較して2倍以上となりました。また、今後STEM分野で活躍する人材が今以上に必要になると考える人が増加する一方で、STEM分野の職種に就くハードルが高いこと、STEM教育における多様性の推進やジェンダー格差の解消が重要課題として挙がりました。そのほか、多くの人が「パンデミ

ックを機に更に環境問題を意識するようになった」と回答し、その中でも気候変動は科学が解決すべき最優先事項と認識されています。

 

沖縄科学技術大学院大学(OIST)
学長 ピーター・グルース氏のコメント

「パンデミックは、科学のもつ力を印象付けました。歴史的にみても前例のないスピードで新型コロナウイルスの特性が明らかにされ、ワクチンが開発されました。今後、より多くの人がエネルギーや気候変動、食糧や健康にまつわるあらゆる将来の危機に対して、科学が適切かつ合理的な対処方法をもたらすと期待してくれるだろうと考えます。3M社が行われている人々の意識調査は、研究・教育機関が重要な社会的課題において人々の期待に応える解決策を開発することにつながるでしょう。」

スリーエム ジャパン株式会社
コーポレートR&Dオペレーション 統轄技術部長 宇田川 敦志のコメント

「当社は、人びとの生活をより豊かにし、持続可能な社会を実現するために人びとの科学に対する理解向上やSTEM人材の育成強化が重要だと認識しています。当社はこれからもサイエンス(科学)を活用した製品開発に励み、社会・顧客の課題解決のために様々な分野でイノベーションを起こし続けるとともに、学びの機会提供をするなど科学リテラシーの向上にもより一層力を入れて取り組んでまいります。」

今回の調査結果の主なポイントは以下の通りです。
※ テキスト部分をクリックいただくと詳細な調査結果へ移動します。

  • 科学に対する信頼度が向上し、懐疑的な意識を持つ人びとは減少
  • パンデミックにおいて科学への期待が高まる
  • 今後も科学への信頼度は上昇し続けるのか
  • STEM分野のキャリアや教育への関心が高まるものの、多様性の推進が課題
  • 環境問題に立ち向かうには科学の力が不可欠で、対策が急務
  • 科学的根拠に基づく解決策の実行には、国家間並びに官民連携の相互協力が不可欠

 

グローバルと日本の主な調査結果の詳細は次の通りです。

【調査結果】

科学に対する信頼度が向上し、懐疑的な意識を持つ人びとは減少

<グローバルのトレンド>

科学に対する人びとのイメージは年々向上し続けており、科学への信頼度は調査開始以降、引き続き最高水準を維持しています。回答者の91%が科学を信頼しており、85%が「科学が重視されなければ、社会に悪影響が出る」と回答しています。また75%が「科学を疑問視する人がいれば、科学を擁護する」とも回答しています。

さらに、科学に対して懐疑的な意識を持つ人の割合はこれまでで最も低い27%となり、「自身の思想や信念に沿う科学的な情報のみを信じる」人の割合は35%と、パンデミック前の2019年の42%から7ポイント減となりました。

<日本のトレンド>

日本でも科学を信頼すると回答した人は84%に上りました。世界と同様に、科学に対する世間のイメージは上昇を続けており、信頼度が高まっています。「科学が重視されなければ、社会に悪影響が出る」と考える人も75%となり、2020年のパンデミック期調査1から5ポイント増となりました。

また、「日常生活で科学は非常に重要な役割を担っている」と回答した人の割合は38%と調査国平均(56%)を下回りましたが、2018年の初回調査で同回答が15%だったことを考慮すると、日本でも科学に対する人びとの評価が確実に変化していることが推測できます。

さらに、科学に対する懐疑的な意識を持つ人は20%と、2020年のパンデミック前調査1からは12%も減少しています。懐疑的な意識を持つ理由としては、「理解ができないことを信じることは難しい」との回答が半数の50%を占めました(グローバル 41%)。

※1 2020年はCOVID-19のパンデミック前(2019年8月~10月間、14カ国対象)とパンデミック期(2020年7月~8月間、11カ国対象)の2回に分けて調査を行いました。

パンデミックにおいて科学への期待が高まる

<グローバルのトレンド>

今回の調査で科学への信頼度が増したことは、「パンデミック下で人びとは安全確保のために科学的なアドバイスを受け入れる可能性が高くなる」という仮説を裏付けるものとなりました。

<日本のトレンド>

日本においても、世界と同様に科学への信頼度は2018年の調査開始以降、引き続き最高水準を維持しています。88%の人が「COVID-19の感染拡大を防ぐためには科学者のアドバイスに従うべきだ」と考えており、73%の人は、「周囲のほとんどの人が科学的知見に基づき行動している」と答えています。また87%の人が、「公衆衛生上の問題に科学が立ち向かうためには、ワクチンが不可欠」と考えています。

今後も科学への信頼度は上昇し続けるのか

<グローバルのトレンド>

科学に対する一定の信頼を持つ人はいるものの、今後の科学への期待値や世代間のギャップがデータにより明らかになりました。全体の59%はパンデミックの後も科学を重視する傾向は続くと考えていますが、41%の人はそう考えていません。世代別に見ると成人以上のZ世代2およびミレニアル世代は63%と、その上の世代と比較して楽観的な傾向が見られます。一方で今回の調査対象者で最高齢となるベビーブーマー世代は53%と、最も悲観的であるという結果になりました。

※2 本調査におけるZ世代の定義は18~24歳です。

<日本のトレンド>

日本では70%の人がパンデミックの後も科学を重視する傾向が続くと考えています。また、今後の科学が果たす役割について「希望を持っている」と回答した人の割合は75%(グローバル78%)となり、「科学への投資が国を強化する」と回答した人は89%(グローバル 91%)に上りました。

STEM分野のキャリアや教育への関心が高まるものの、多様性の推進が課題

<グローバルのトレンド>

特に若い世代に対して科学者や医療従事者は、将来STEM分野でキャリアを積むことへのインスピレーションとなっています。回答者の60%が「パンデミックをきっかけに、STEM分野のキャリアに進むこと」を考えるようになり、世代別ではZ世代が64%、ミレニアル世代は65%に達しています。また、90%の回答者が「より多くの人びとがSTEM分野の職種に就く必要がある」と考えていますが、その一方で、この分野のキャリアの入り口が狭いことも認識しています。

STEM教育において、社会的少数者に対する不平等や格差の解消は世界的な課題です。88%の回答者は「STEM分野で多様性を推進することが不可欠」と回答しています。これは、人材の多様性を推進させることで企業や組織間のグローバルな協力関係の強化や、革新的なアイデアの創出、技術革新や新しいアプローチの発案などが期待できるからです。しかし、73%の回答者は「社会的少数者がSTEM教育を受ける機会を享受できていない」と感じています。

STEM分野では、ジェンダーの格差も乗り越えるべき課題であることが明らかになっています。70%の回答者が「科学分野で活躍する女性が増えなければ社会に悪影響が及ぶ」、87%が「女性のSTEM教育の門戸を広げるためにはより一層の努力が必要」、59%が「STEM分野において女性は男性よりもより多くの足かせがある」という意見に同意しています。

STEM教育の普及において責任を持つべき者は誰か」という問いに対しては、1位が教師、2位が政府、3位が企業となり、それらの職種や組織の社会的責任としてSTEM教育普及における明確な役割が求められていることもデータは示しています。

<日本のトレンド>

日本では、多くの人がSTEM分野で働く人材が必要であると認識しています。今回の結果では、88%が「STEM分野のキャリアを目指す人材を増やす必要がある」と回答しています(グローバル90%)。同様に、78%の回答者は「STEM分野のキャリアを積む人材が増えることで自国の経済が良くなる」と考えています(グローバル 84%)。

しかし、「若い世代が科学や科学関連の問題に非常に高い関心を持っている」と回答した人の割合は、グローバルの平均の69%に対し、日本は調査対象国の中で最も低い41%という結果でした。また、「パンデミック下で、科学者や医療従事者は若い世代が将来STEM分野のキャリアを追求するきっかけになったと思う」と感じている人も43%にとどまり、調査対象国の中でも極めて低い数値となりました(グローバル 62%)。そのほか、「今回のパンデミックを機にSTEM分野のキャリアを選択したい」と回答した人も35%に留まりました(グローバル 60%)。STEM分野で活躍する人材が必要との声が上がる一方、自らはSTEM分野のキャリアに魅力を感じない、という矛盾が残る結果となりました。

また多様性に関しては、日本でも83%が「STEM分野で多様性を推進することが不可欠」であると考えています(グローバル88%)。しかし、日本においては「STEM分野に従事する教育者が不十分である(日本64%、グローバル52%)」、「学校でSTEM関連の授業が少ない(日本63%、グローバル54%)」、「学業以外にやらなければいけないこと(就労、家事や家族の世話)が多く、STEM分野について考える余裕がない(日本59%、グローバル41%)」ことを理由に、STEM教育を受ける際のハードルがあると感じている人も多くいます。

STEM分野で活躍中の回答者に対してのキャリアを追求するきっかけについての質問では、「教師の影響」と答えた人は20% に留まる一方(グローバル 48%)、「自分自身のモチベーション」という回答は調査国の中でも高い数値の44%となりました(グローバル 19%)。

また、日本ではSTEM分野におけるジェンダー格差について、女性が直面するSTEM分野での不公平感を解消するために、性別にかかわらずより多くの取り組みを行う必要があると考えています。

90%の回答者がSTEM分野における多様性をさらに推進するには、企業が重要な役割を担うべきだと考えています(グローバル89%)。中でもSTEM教育を促進させるために、「子どもたちが科学に親しむためのリソースの提供(日本 55%、グローバル44%)」や「子供たちに科学を好きになってもらうための投資 (日本 50%、グローバル 39%)」を企業が取り組むべき事項と考える人が多く、いずれの結果も調査国の中で比較的高い割合を占めています。企業に求めることとしては他にも、43%の人が「科学の授業で教師が使用できる教育資源の作成をすべき」と考え、グローバル平均の37%と比較して高い数値となりました。

環境問題に立ち向かうには科学の力が不可欠で、対策が急務

<グローバルのトレンド>

本調査結果は、地球環境への懸念と危機感の高まりも示唆しています。回答者の89%が「気候変動の影響を緩和するための解決策を早急に講じる必要がある」ことに賛成し、「より持続可能な未来を築くために科学的知見に沿った行動が必要」であると考えています。

<日本のトレンド>

日本においても「パンデミックによりさらに環境問題を意識するようになった」という回答が多く(日本70%、グローバル77%)、環境問題は科学が解決すべき最優先事項のひとつと考えられています。その中でも気候変動(日本 53%、グローバル 47%)は、COVID-19のパンデミックへの対策(日本・グローバルともに51%)と同等に重要な問題であると考えています。

1年前と比較して関心が高まった環境問題については以下の通りの回答となりました。

科学的根拠に基づく解決策の実行には、国家間並びに官民が連携した相互協力が不可欠

<グローバルのトレンド>

この1年間で国家間の協力によって実現した具体的な取り組みを実際に体験したためか、回答者の91%が「将来起こりうるパンデミックや気候変動などの喫緊の課題への科学的解決策について、各国が協力して取り組むべきである」と考えています。

また、全体の92%が「科学の発展には更なる官民連携が不可欠」と回答し、大きな期待を寄せています。過去数ヶ月で様々な社会課題を目の当たりにし、企業が政府と連携することによって、地球規模の課題解決に向けた規制や政策が提唱されることを期待しています(回答者の51%が賛同)。中でも、「今後のパンデミック発生への備え」は企業が優先すべき事項として最も高い結果(55%)となり、人々の将来的なパンデミックに対する懸念を示しています。回答者が期待するその他の優先事項としては、「気候変動の影響を緩和するイノベーションへの投資(46%)」、「社会的少数者へSTEM教育を提供する際の環境整備(40%)」などが挙げられます。

<日本のトレンド>

日本の回答者91%も、「科学の発展には更なる官民連携が不可欠」だと答えています。その中でも、企業が優先すべき事項として、「今後のパンデミック発生への備え(日本61%、グローバル 55%)」、「現在直面している多くの地球規模の課題解決に向けた規制・政策を提唱するために政府と協力すること(日本58%、グローバル51%)」、「気候変動の影響を緩和するイノベーションへの投資(日本50%、グローバル 46%)」が上位項目として挙げられました。

また、持続可能な世界を実現するために企業が優先すべき取り組みとしては、以下4つが上位に挙がっています。

 

「State of Science Index(ステート・オブ・サイエンス・インデックス)」の各国の結果の比較や、より詳細な情報は下記のウェブサイトをご覧ください。
   http://go.3M.com/jp_cc_sosi (日本語) / www.3M.com/scienceindex (英語) 
 

【State of Science Index(ステート・オブ・サイエンス・インデックス)の調査方法】

3MのSOSIは、独立した世界的な調査会社を通じてオンラインとオフラインのインタビューを組み合わせて2021年に実施し、独自の独立した、各国の代表的な(国勢調査の人口統計に基づく)調査結果を示しています。2021年の調査は、2021年2月2日から3月23日にかけて、17カ国(オーストラリア、ブラジル、カナダ、コロンビア、中国、フランス、ドイツ、インド、イタリア、日本、メキシコ、ポーランド、シンガポール、韓国、UAE、英国、米国)において、一般人口の成人(18歳以上)1,000人を対象に各国で実施されました。信頼水準95%となり、誤差は、世界17カ国レベルでは±0.8%ポイント、各国レベルでは±3.1%ポイントとなります。SOSIの対象各国を比較するために10カ国のトラッキング平均値を使用し、誤差を±1.0%ポイントに設定しています。この平均値に含まれる国は、ブラジル、カナダ、中国、ドイツ、日本、メキシコ、ポーランド、シンガポール、英国、米国となります。

 

3Mは3M社の商標です。

プレスリリースに掲載している内容は発表時点の情報です。

最新の情報とは異なる場合がございますので、あらかじめご了承ください。

 

【3Mについて】

3M(本社:米国ミネソタ州)は、人びとの日々の暮らしをより豊かにするために、世界中のお客様と連携しながら、サイエンス(科学)を活用しています。グローバルにおける課題の解決に向けて、3Mが取り組んでいる創造的なソリューションの詳細は、www.3M.comまたはTwitterの@3M、@3MNewsをご覧ください。また、3Mジャパングループについてはwww.3mcompany.jpをご覧ください。

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